| 入会変更届 |
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会長挨拶
年頭のご挨拶
会長 野村 修
耐火物技術協会会員の皆様,明けましておめでとうございます。2014年新春を迎え,謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は円高是正,震災の復興需要等による公共投資の増加,金融緩和や財政政策による企業収益の好転等,明るい兆しを感じることができました。耐火物業界の最大の需要先である鉄鋼業界についても堅調な需要により,経済産業省の発表(10月1日)では13年暦年の粗鋼生産量は5年ぶりに1億1000万トンを上回る勢いであります。また、セメント業界も高レベルの生産が続いております。一方、耐火物業界は耐火物の使用技術の改善,耐火物寿命の向上等もあり国内生産量は予想を下回る結果でありました。さらに円高による原燃料価格高騰に直面している状況であり,依然として厳しい環境にあるのは間違いありません。厳しい環境下ではありますが,耐火物技術協会は技術革新を積極的に推し進め,明るい未来を会員の皆様とともに作りたいと考えております。技術革新は我々技術者に与えられた使命であります。皆様の絶大なるご協力をお願いします。
ご承知の通り,60年以上の歴史を持っていた精錬,鋳造用耐火物専門委員会は日本鉄鋼協会耐火物部会のご協力,ご理解を戴き,「鉄鋼用耐火物専門委員会」として新しい一歩を踏み出しました。昨年11月21,22日に北九州市立商工貿易会館で開催された第1回鉄鋼用耐火物委員会では28件の一般発表,2件の特別講演がありましたが,誠に興味深い内容でありました。また、出席者も予想をはるかに上回る176名であり,特に若い世代の参加者が多く,活気のある明るい未来を予感させるスタートでありました。その際にお話しましたが,耐火物メーカーには大きな特徴,ハンデがあります。自動車,化粧品,薬品,家電,食品メーカー等はメーカーであると同時に,社員の皆さんはユーザーでもあります。自社製品をユーザーとして評価することが可能です。しかし,耐火物メーカーは自社品を使うことは殆どありません。浸漬ノズル或いは吹き付け材を家へ持ち帰り使用することはありえません。耐火物の研究開発にはユーザーとしての視点が必須であり,耐火物部会の皆様と新たに立ち上げた鉄鋼用耐火物専門員会はこの意味で非常に重要であり,大きな成果が期待できます。1回目より,2回目,3回目と忌憚のない意見交換が出来れば日本の耐火物技術は飛躍的に進化すると固く信じております。会員の皆様の積極的なご協力,ご出席をお願い申し上げます。
本年の主な協会活動として第67回通常総会,第27回年次学術講演会,第30回セメント用耐火物研究会,第74回原料専門委員会,第13回環境と耐火物研究会,第2回鉄鋼用耐火物専門委員会等を計画しております。第67回通常総会,第27回年次学術講演会は,4月22,23日に東京ビッグサイトにて開催予定です。多くの方々にご出席戴き,活発な討議を楽しんで戴きますようお願い申し上げます。
なお,協会活動の源である会員数は伸び悩んでおりましたが,一昨年6月末と比べ21名増の1406名(正会員1154名,購読会員252名)になりました。本年の協会活動がさらに活発化すると期待しております。
最後になりましたが,耐火物メーカー,ユーザーにとって実り多い,明るい一年になりますことを期待するとともに,会員の皆様のご健康とご多幸を祈念申し上げます。
以上
年頭挨拶
会長 加山恒夫
2013年の初頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は,米国,中国,ロシア,フランス,韓国,北朝鮮,台湾など世界各国で新首脳が選出されました。そして我が国自身も,年末の総選挙で選出された新体制で,新年を迎えております。誠に大きな変動が続き,否応なしに政治を注視せざるを得ない状況です。われわれ企業人にとりましては,国の政治方針は,目先の経済状況のみならず,原料問題やエネルギー問題など企業の永続性に大きな影響を与えるものであります。海外諸国の動向と我が国の目指す方向に,これまで以上の注意を払わざるを得ない昨今です。
国内では,東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた地域の皆様が,復興に向けて一歩一歩着実に歩みを進めておられます。しかし,今もなお重い心の傷を負われている方々がいらっしゃるのも事実です。そのような方々の一日も早い立ち直りを心からお祈り申し上げると同時に,鉄鋼,非鉄金属,セメント,ガラスなどの社会の基盤となる素材産業を支える立場の私どもと致しましては,共に日本の復興へ貢献して参りたいと思っております。
製造業界の世界では,海外メーカーへの技術流出や,日本製品の市場でのシェア衰退などの問題が浮かび上がり,これまでのようなやり方ではいけないのではないかという反省も出てきました。日本の製造産業の多くは海外展開を図らざるを得ない,とはいうものの,今後は,これまでのような技術・製品ばかりに重きを置いたものではなく,トータルの事業として上手く成立させていくという考え方が必要になってくるのでしょう。そして,そのために大変重要なことは,国際的に活躍できる人材の育成と,最初から海外展開を狙った技術の開発だと思います。
耐火物技術協会としては,これまで以上に,人材育成,ならびに,海外を意識した活動に力を入れていきたいと考えております。
現在の日本の大学には耐火物を前面に掲げた講座がないという現状を鑑みますと,どのようにして若い方々に耐火物に目を向けてもらうかということが大きな問題です。この問題解決のためには大学の先生方に,耐火物というモノに興味を持っていただかなければなりません。これまで,耐火物に関わるご研究を進めておられる大学の先生方へは助成金という形で支援を行って参りましたが,更に一歩進めて,耐火物分野で最大の国際会議であるUNITECRへご出席される場合には,補助金をお出しすることも企画しております。
一方,当協会では,日本の耐火物評価規格と国際規格の整合性をとる,という活動を精力的に進めております。JIS規格をISO規格へ採用するよう提案し,それが実現しております。このような活動は我が国の耐火物産業の国際化のみならず,技術の優位性を示す意味で大変重要です。今後も標準化委員会を中心に継続的に行って参りたいと存じます。
また,耐火物技術分野のバイブル的存在である耐火物手帳の改訂を現在進めており,できるだけ早期の出版を行う所存です。若い技術者の拠り所となる書籍の存在は極めて重要です。耐火物誌の一層の充実と併せて,協会全体で取り組んで参ります。
さらに,技術の研鑽のみならず,同世代の技術者のコミュニケーションの場でもある各耐火物専門委員会,研究会ならびに各種講演会・講習会のより一層の活性化も図って参ります。同業他社あるいは異業種の技術者と顔を合わせて話をするということは,大変意義あるものだと考えております。各専門委員会ならびに各支部のなお一層のご支援をお願い申し上げる次第です。
そして,このほかの耐火物技術協会の活動につきましても,会員の皆様からのご意見,アドバイスなどを盛り込んだ,新たな試みを織り込んで参りたいと考えております。ご指導ご鞭撻のほどをどうかよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが,今年一年の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
就任挨拶
会長 加山恒夫
東日本大震災という国難とも言うべき非常事態の中で耐火物技術協会会長に就任することになり,緊張感と責任感を痛切に感じております。そして,この様な状況下であればこそ,社会の下支えとしての役割を担っている耐火物業界の技術力を,皆様とともに振興し発展させていきたいと考えております。皆様からのご協力とご支援を賜りながら,協会運営を着実に行い,更なる発展を期してまいります。
本協会は昭和21年に創立され,今年で創立65周年を迎える伝統のある技術協会です。これまで我々耐火物業界と,お客様である各種産業の,耐火物に関わる技術の中核機関として活動を展開してまいりました。どちらかと言えば産業界が中心の活動が目立っていたことは否めません。しかしながら,最近では大学や研究機関の先生方で耐火物について興味を示していただける例がこれまで以上に増えてきているように感じております。このような大変頼もしい動きを大切にしていきたいと思っております。
耐火物分野を取り巻く状況を考えたときに,まず浮かんでくる言葉は「グローバル化」だと思います。我々が直面する耐火物原料の問題は勿論のこと,鉄鋼業をはじめとする我々のお客様であります各種産業のビジネスは,まさにこのグローバルな展開のまっただ中にあります。とにもかくにも,世界というものを考えていかなければならない状況にあることは間違いありません。しかしながら,昨今の世界的な政治と経済の変化の激しさを見ると,何を拠り所にして物事を判断していけばよいのかまったく分からない,と言っても過言ではないと思います。しかし,この様な状況であればこそ,技術力というものがより一層重みを増してくるものと確信しております。我々は耐火物分野の技術的中核を担う団体として,ベースとなる活動をしっかり継続し,展開していきたいと思います。
耐火物が直面する技術的な課題は何かと考えてみますと,従来からの長寿命化,安定化,低価格化という課題に加えて,最近では,エネルギー問題,環境問題といった問題の重みが一層増大し,なおかつ複合化してきていることに気がつきます。この様なさまざまな問題が積み重なった課題に対しては,これまで積み上げてきた既存の技術に加えて,これまではあまり注意を払ってこなかった別の分野の力も借りた,総合力で立ち向かわなくてはなりません。すなわち,きちんとした要素技術を駆使して着実に道を切り開く人,幅広い知識と視野を持ち多角的なアプローチを試みる人,高い視点から状況を把握し進むべき方向を判断する人,などなど実に多様な人材が必要となってきます。我々耐火物技術協会は幅広く活動を展開してきておりますが,これらの活動を通して,多様な人材の育成に結びつけていきたいと考えております。会員の皆様からの,ご支援,ご協力,アイデアのご提供などをお願い申し上げます。
さて,今年の秋(10/30?11/2)にはUNITECR2011(The Unified International Technical Conference on Refractories)を京都で開催する予定です。この会議は二年に一度開催される耐火物国際会議で,今回は8年ぶりに日本での開催となります。グローバル化,環境問題,人材育成などの新たな課題への取り組み方を考えていく上で,海外の関係者と交流し,刺激を受ける事は,視点や視界を変える大変良い機会だと思っております。会員の皆様の積極的なご参加をお願い申し上げます。
福島の原子力発電所事故の解決が不透明な状況下での国際会議の開催については,さまざまな観点から慎重に検討いたしました。そして現在,予定通りの開催に向けて関係者の総力を挙げて準備を進めております。皆様のご協力とご支援をよろしくお願い申し上げます。
耐火物というものは非常に広範囲な産業を陰で支えており,世界中の人々の生活の基盤を造っていく上でなくてはならないものです。このことを我々の誇りとして,皆様とともに努力を積み重ねていきたいと思っております。どうかよろしくお願い申し上げます