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会長就任挨拶
会長 古田直樹
本年4月24日に開催されました第76回通常総会におきまして,小形前会長の後任として耐火物技術協会会長を拝命致しました古田でございます。
戦後間もない1946年に発足した歴史ある本協会の更なる発展のため,微力ながら全力を尽くす所存でございますので,会員のみなさまのご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
さて,日本国内の耐火物産業は,戦後,鉄鋼・セメント等の高熱産業を支える基礎資材の供給者として発展してまいりました。しかしながら,1990年代初頭のバブル崩壊以降の約20年間,構造的な試練に遭い,これをくぐり抜けて現在の業界構造となっております。
その間,業界の縮小再編に加え,需要家業界における製造プロセスの成熟に伴って,必要となる耐火物の特性が概ね定まったこともあり,研究者の減少と新たな技術開発の停滞に見舞われてまいりました。
片や世界的にみますと,今世紀に入り,中国を中心とした新興工業国の経済発展に伴って,鉄鋼やセメントの生産量は飛躍的に増加し,耐火物の世界需要も大きく増加しています。
これは,耐火物技術に関して一日の長がある日本の耐火物メーカーにとって,市場が大きく広がっている事を意味しています。
またここにきて,カーボンニュートラルの大きなうねりの中で,新たな耐火物開発のニーズが高まっています。日本の耐火物は,需要家業界の操業技術の進歩と,それを支える耐火物の技術的発展によって,原単位が大きく低減しており,更に焼成れんがの不焼成化や不定形化によって,カーボンニュートラルの観点では,既に世界の先を進んでいると言っても過言ではありません。
しかしながら,現在,更にその先を行く研究開発が求められているのです。
このような時代の転換期にあたり,耐火物技術協会としても,小形前会長が進めてこられた,若手技術者の技術レベル向上,世界に目を向けた研究活動の活発化,議論の場の提供などを引続き積極的に進めていきたいと考えております。
昨年度はコロナ禍もある程度落ち着きをみせ,多少の制約はあったものの,対面での協会活動が出来るようになってまいりました。また,急速に広まったWeb会議の利点も活かし,対面とリモートを組み合わせたハイブリッド方式の会議等も取り入れてまいりました。
去る5月8日からはコロナの2類から5類への移行もあり,今年度は概ね正常な協会活動ができるものと考えております。
これによって,各々の研究テーマに関する議論が従前にも増して活発化し,日本の耐火物技術が更に深化していくことを期待しております。
ところで,みなさまご存知の通り,第20回UNITCR2027の日本開催が決定しており,この3月には既に準備委員会を立ち上げております。そうして2025年には実行委員会を立ち上げ,具体的な準備活動に入ってまいります。会員のみなさまの絶大なご協力なくして,国際会議の成功を成し遂げる事は出来ませんので,何卒よろしくお願い申し上げます。
現在,日本の耐火物産業は大きな変革期を迎えております。このような中で,耐火物技術協会として,耐火物技術の発展・深化のためのお役に立てるよう一層努力してまいりますので,会員のみなさまの引き続いてのご支援,ご協力を宜しくお願い申し上げます。