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会長就任挨拶
黒田浩太郎
本年 4 月19日に横浜で開催された総会におきまして,金重会長の後任として耐火物技術協会の会長を拝命致しました黒田でございます。(「令和」元年の記念すべき年度の就任に身の引き締まる思いであります)
多くの諸先輩方によって73年に亘る歴史を築いて来た耐火物技術協会とそれを支える耐火物業界の発展のために微力ながら全力を尽くす所存でございますので,会員の皆様のご支援ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
当協会の使命は日本の耐火物技術の進歩と業界の発展の礎となることでありますが,耐火物技術は耐火物メーカー単独の研究開発のみではその成果を得る事はできません。官学の基礎研究,原料やプロセス機器などの周辺技術開発やユーザーでの実用知見の積み重ね等も合わせて初めて前進するものであります。そうした観点から当協会は,官学研究者,ユーザー,原料関係者,耐火物メーカー,輸入業者等幅広い会員で構成され,各々の研究成果,実用データーを持ち寄り,発表会,講演会,会誌にて日本の耐火物技術の進歩を支えて参りました。
その一方で,日本の耐火物生産量は1980年の260万トン/年ピークに徐々に減少し近年は100万トン/年前後で推移しています。これは耐火物の品質向上や安定化,ユーザー様の使用技術等の進歩・改善による耐火物原単位の低減によるところが大きいと考えられます。技術の進歩による生産量の低下という業界にとっては痛みを伴う事になった一方で,日本の耐火物消費原単位は世界最高水準にまで達しており,鉄鋼やセメント業界の安定操業や高品質化に大きく貢献して参りました。また同時に世界に類を見ないレベルで多くのお客様から日本の耐火物に高い信頼を頂いていると思います。
そう言う意味では当に,今や日本は世界一の耐火物技術大国と言っても過言ではないでしょう。今後も生産規模の追及のみではなく,より高付加価値を求める耐火物の開発を心掛けることが業界の発展に繋がるものと考えます。技術の進歩に終わりはなく,世界一の日本の技術に更に磨きをかけて行きましょう。他方,世界に目を向ければインド,東南アジアを中心にしたアジアや中南米,アフリカなどが今後大きく発展して行く中でこれから益々鉄,非鉄やセメント等の耐火物を必要とする素材産業が伸びて行くと予想されます。当然ながら世界最高レベルの技術を持つ日本の耐火物のニーズが増えることは間違いありません。こうした
世界需要を捉えて行けば世界中での日本製耐火物の生産増を実現できることになるでしょう。
「耐火物」産業と言う言葉は一見地味な印象を与えますが,まだまだ発展して行く夢のある業界であり続けるために当協会も活発な活動をして行きたいと思います。
さて,そうしたグローバル化が進む中で,今年は当協会として最も重要な耐火物国際会議「UNITECR 2019」が10月13 ~16日にパシフィコ横浜にて開催されます。「UNITECR」は1983年に当協会が開催した東京耐火物国際会議を発端に始まった国際会議であり今回で16回目になります。日本ではこれまで大阪,京都で 3 回開催して参りましたが今回は国際的なアクセスも考慮して始めて関東地区で行うことになりました。一昨年から準備委員会を立ち上げ講演応募も既に終わっていますが,予想を大幅に上回る世界20カ国以上から300件余りの投稿を頂いており,過去最大規模の会議になるものと思われます。世界中の1000人近い耐火物関係者との交流を深めることができるまたとない機会でもありますので是非とも会員皆様のご参加をお待ちしております。
その他の協会活動としては,官学の耐火物研究者に対する研究助成金活動をさらに活発にして基礎研究の充実を図って参ります。また昨年 4 月より「耐火物誌」のWEB化を始動しており会員皆様の利便性の向上と会員増強の施策の一助にして参りたいと思います。標準化活動におきましては,標準物質在庫補充の製造にも既に着手をする一方で販売ルートの一元化を進め会員 皆 様 の 購 入 利 便 性 の 向 上 を 図 り ま す。 ま たUNITECR以外の例年の講演活動も,「セメント用耐火物研究会」( 5 /27),「原料専門委員会」( 9 /13),「環境と耐火物研究会」(11/15),「鉄鋼用耐火物専門委員会」(12/ 9 ・10)などが予定されており,この他各支部の講演会,見学会も多数開催いたしますので奮ってご参加ください。
耐火物技術協会は日本の会員皆様が世界一の技術集団としての自負と誇りを持ってご活躍できますよう支援活動を展開して参りますので今後ともご指導,ご協力をよろしくお願い申し上げます。